令和1年9月議会 総合政策委員会議案外質問 「視覚障害者の投票について」
◆竹腰連委員 日本共産党の竹腰連です。
前回の議案外質問では、若者の投票率向上と高齢者の方の投票手段の拡充等についてお尋ねさせていただきましたけれども、今回は、視覚障害者の方の投票支援に絞って質問させていただければと思っています。
本市でもノーマライゼーション条例が制定され、誰もがともに暮らすことができるさいたま市を目指しているわけですけれども、その点に照らして、視覚障害者の方々が安心して投票できる環境を整えるという立場で質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、(1)視覚障害者への投票支援の内容についてお伺いします。
視覚障害者の方が投票に参加する際に、受けることができる支援について、どのような支援があるのか教えてください。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] 竹腰連委員の御質問の1、視覚障害者の投票支援について、(1)視覚障害者への投票支援の内容についてお答えいたします。
まず、視覚障害者の方が投票するための公職選挙法上の制度といたしまして、点字投票がございます。本市では、その対応として、全ての投票所及び期日前投票所に点字器及び点字による候補者氏名等掲示を配置しております。また、軽度の視覚障害者の方のために、拡大ルーペを用意しております。
投票事務従事者が障害者の方を御案内する際に留意すべき事項や点字器の取り扱い方法などにつきましては、投票事務全般にわたる手引書である投票事務要領にあわせて、投票に介助等が必要な方への対応マニュアルを投票事務従事者に配布し、周知を図っております。
また、投票用紙に自書することが難しい視覚障害者の方で、点字を習得されていない方については、代理投票の御案内を行い、投票管理者が事務従事者の中から選任した代理投票補助者2名の補助のもと、投票を行っていただいております。
その他、本市では、各世帯に郵送している投票所整理券の封筒に、点字で投票所整理券である旨の表記を入れることにより、他の郵便物と容易に区別できるようにしております。また、市議会議員及び市長選挙におきましては、選挙公報の音訳版のCDを御用意し、御希望の方に配布しております。
そのほか、保健福祉局福祉部障害支援課に依頼いたしまして、障害者向けの刊行物であるさいたま市の障害者福祉ガイドに、点字投票や代理投票に関する案内記事を掲載しております。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
さまざまな支援があるということがわかりました。
では、次に、視覚障害者の有権者数と投票者数、投票率と、その方々がどんな支援を受けたか。わかる範囲で結構ですので、教えてください。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] (2)視覚障害者の有権者数、投票者数(率)及び投票者の支援別内訳についてお答えいたします。
まず、視覚障害者の有権者数及び投票者数につきましては、選挙管理委員会では、選挙人の方が視覚障害者であるかどうかの情報を有しておらず、把握することができません。このため、投票率についても算出することができません。
参考までに、保健福祉局からの情報によりますと、本市において身体障害者手帳をお持ちで、障害区分が視覚障害の方のうち、18歳以上の方は、平成30年4月1日現在、2,203人でございます。
次に、投票した方の点字投票及び代理投票の投票支援の内訳につきましては、本年7月21日の参議院議員通常選挙では、本市の投票者総数51万9,314人のうち、点字投票により投票した方が35人、代理投票により投票した方につきましては、視覚障害者の方とは限りませんが、589人でした。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
点字投票を利用された方が、今35人ということで、それでは、点字投票についてお伺いしたいと思います。
本年の7月21日投開票で行われました参議院議員選挙後に、視覚障害者の方と点字判読者の方が日本共産党さいたま市議団にいらっしゃって、点字投票についてさまざまな意見を寄せてくれました。寄せてくれた意見5点ありますけれども、それについて、さいたま市がどのような対応をしたのか、お伺いさせていただきたいと思います。
1点目が、投票所でサポート依頼をしたところ、すぐに代理投票に案内をされてしまったと。本来であれば、点字投票可能かどうか、あるいはルーペを使用すれば、自分で記載できるかどうかというのを確認して、そこから代理投票に御案内するという対応になるはずなのですけれども、このような措置がされずに、すぐに代理投票に案内されてしまったという例です。
2点目が、代理投票を行う場合、2名の従事者が対応し、1名は投票用紙に記載し、もう一人は、それを確認するべきということなのですけれども、これが、実際にそのとおりに行われているかどうかというのが、視覚障害者の方は確認ができなかったと。その声がけがなかったということで、それにはどういう対応を今後されていくのか。
3点目に、これは御意見なのですけれども、使いなれた自分の点字器を持ち込ませてほしいという意見もありました。
この3点について聞かせてください。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] (3)点字投票について、①視覚障害者及び点字判読者から寄せられた意見への対応についてお答えいたします。
まず、1点目の視覚障害者への方への点字投票の御案内が行われずに代理投票を御案内したとされる件につきましては、事案が発生した期日前投票所が特定できず事実関係の確認ができておりませんが、視覚障害者の方がお見えになった場合には、まず、投票用紙への自書が可能であるか、自書できない場合は点字投票が可能かをお伺いし、いずれもできない場合に代理投票の御案内を行うべきであると考えております。
2点目の視覚障害者の方の代理投票が2人によって行われたことが確認できなかったという御指摘につきましても、同じく事実確認ができておりませんが、代理投票の申請があった場合は、代理投票補助者2名のうち、1名が、選挙人が指示する候補者の氏名を投票用紙に記載し、他の1名が、これに立ち会うこととされており、この2名による実施につきましては、全ての投票所及び期日前投票所において厳正に実施されているところでございます。
これらの御指摘を受け、投票所及び期日前投票所におきましては、選挙人の方とのコミュニケーションを十分行い、行き違いや誤解を生まず、ましてや疑念を持たれることのないよう、指摘をいただきましたのが8月の埼玉県知事選挙のさなかでもございましたので、直ちに各区選挙管理委員会事務局を通じ各当投票管理者に、投票事務要領等を参照し、適切に対応するよう周知を図ったところでございます。
3点目の点字器の持ち込み使用につきましては、点字投票をする際に、使いなれた御自分の点字器を使用することにつきましては、何ら差し支えないものと考えております。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
ちょっとお聞きした話によると、1点目と3点目に関しては、投票事務要領を少し変えたというようなのですけれども、それは合っているのでしょうか。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] (3)の②の質問ということでよろしいですか。
投票事務要領の変更につきましては、これらの御指摘を受けまして、記載内容の見直しを行いまして、次回、10月27日執行の参議院議員補欠選挙の投票事務要領から、点字投票及び代理投票に関する説明内容の改善を図りました。
まず、その内容といたしましては、目の不自由な選挙人が見えた場合は、まずは点字投票ができるかを確認する。自書できる場合は通常の投票を、自書も点字もできない場合は代理投票を御案内する。点字投票の持ち込みを認める。これらの点につきまして、説明を追加したものでございます。
◆竹腰連委員 迅速な対応をしていただきまして、ありがとうございます。
残り2つの御意見にもちょっと、どう対応したかというのを教えてください。
4つ目の御意見として、投票記載台が揺れて不安定で、うまく点字が打てないという意見がございました。
5つ目の御意見は、点字判読者の方からの意見なのですけれども、点字を判読していると、投票用紙のさまざまな位置に点字が打たれているということがあって、投票用紙に印刷された選挙名などと重なって、点字が判読しづらいケースがあるという意見も出されました。
この2つの意見には、どのような対応されたのか教えていただきたいと思います。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] まず、投票記載台が揺れて点字が打ちにくいとの御指摘の件でございますが、投票記載台に経年劣化がございまして、一部に安定していないものがあると区の選挙管理委員会事務局からの報告を受けております。
こうしたものにつきましては、買いかえや修理により、順次改善を図ってまいりたいと考えております。
また、投票記載台は、設置時の組み立てですとか、持ち運びの負担軽減のために、軽量のアルミ製となっておりますので、点字を打つときに揺れやすいことはごもっともな指摘でございます。投票所の状況に応じてでございますが、可能な限り揺れを少なくする工夫を行ってまいります。
次に、点字判読者の方の御指摘で、投票用紙に打たれた点字の位置がさまざまとの御指摘でございます。
現在、投票事務要領では、点字器の取り扱いの説明に1ページを割き、投票用紙をセットする際の位置、向き等について、写真を用いて具体的かつ詳細に説明を行っているところでございます。
しかしながら、毎回点字投票をする方がいらっしゃる一部の投票所は別といたしまして、ほとんどの投票所では、点字投票を御案内する機会がそれほど多くなく、また、初めて対応するふなれな事務従事者も多くおりますことから、御説明や点字器の投票用紙のセットのお手伝いが適切にできますよう、事務従事者への説明を引き続き行ってまいりたいと考えております。
以上の各点につきましても、先ほど申し上げました周知にあわせまして、適切に対応するよう周知を図ったところでございます。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
投票事務要領を変えていただいたりとか、通知文、周知をする文章をつくっていただけたりとか、経年劣化を買いかえていくというようなことで、全ての御意見に対して、何らかの手だてを打って適切に対応していただいて、本当にありがとうございます。
しかしながら、変更されたこの点が、しっかりと周知されなければ、私は効果が薄くなってしまうと思うところもあります。
そこでお聞きしたいのは、投票事務要領が変更されたというふうに聞きましたけれども、この投票事務要領について選挙管理委員会で、どのような活用方法をしているのか。例えば、読み合わせだったり、講習会だったり、そういったことを行っているのか。周知文に関しては、どの範囲まで配られるのか。この2点をお聞かせください。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] 投票事務要領につきましては、これは、投票事務従事者にとってはなくてはならないバイブルのような大切なものでございます。
これを用いまして、市選挙管理委員会が主催する全区の投票所の投票管理者及びその職務代理者を対象とした、投票事務従事者打ち合わせ会を開催いたしまして、この場で周知をいたします。また、各区選挙管理委員会が主催いたします投票所及び期日前投票所の事務従事者等を対象とした事務打ち合わせ会におきましても、あわせて周知を行う予定でございます。
各投票管理者は、この説明会への出席を受けまして、それぞれ自分の投票区の事務従事者に留意点の周知を図るといった仕組みになっております。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
打ち合わせ会等で投票事務要領あるいは通知文を使うということを確認できたのですけれども、この打ち合わせ会の出席率が、大体何パーセントくらいになっているのか。参加率がわかれば教えていただきたいと思います。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] 本年7月に開催した参議院議員通常選挙と埼玉県知事選挙に向けて市選挙管理委員会が主催した投票事務従事者打ち合わせ会では、対象者484名中452人が出席し、出席率は93%でございました。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
残念ながら100%ではないということだったのですけれども、当然、人がいることですから、100%は大変だというのもよくわかります。100%を目指して、引き続き今後の取り組みもしていただきたいかなと思います。
では、4点目をお伺いしたいと思います。
視覚障害者への周知における現状と徹底についてお伺いしたいと思うのですけれども、投票事務要領の変更や通知文は、選挙管理委員会の中で本当に十分に、周知、徹底をされると思うのです。この打ち合わせ会等で活用されるということなので、そこは十分に周知されるとは思うのですけれども、ただ、一番肝心なのは、当事者である視覚障害者の皆さんに、こういう支援があるなら投票に行こうと思ってもらうことが、私は一番大切なのかなと思います。
実際、私の知り合いの視覚障害者の方も、どんな支援があるかわからなかった、あるいは、視覚障害者の場合は、やはりハードルが高くて投票に行く気が起こらなかったという方もいらっしゃるのです。
そこで、そんな方々に、どのようにこの投票方法、あるいは支援を周知しているのか教えてください。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] (4)視覚障害者への周知における現状と課題、今後について、お答えいたします。
視覚障害者への選挙情報の提供といたしましては、市議会議員及び市長選挙におきましては、NPO法人が作成する選挙公報の概要の音声版資料を購入いたしまして、同法人を通じまして、情報を必要とする会員の方等に御提供しているところでございます。
また、あわせまして、会員以外でも御希望する方にも提供できるよう、図書館、区役所支援課及び障害者生活支援センターに配置いたしまして、御希望のあった場合等への提供に備えております。
課題及び今後につきましては、課題といたしましては、この選挙公報の音声版が候補者から提出された選挙公報の原稿のうち、読み上げることができる文字の部分のみに情報が限られてしまい、写真や図やイラストなどが盛り込めないなど、完全な情報にならない点がございます。
また、今後でございますが、視覚障害者の方にも、点字を使える方と使えない方、また、パソコンを使いこなせる方と使いこなせない方など、ニーズがさまざまでございますので、福祉や広報等の各部署と情報交換をしながら、必要な周知の内容やその媒体、方法等について、引き続き調査研究を重ねてまいります。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
この前、視覚障害者の方とお話をさせていただいて、こういった変更点だったり、支援の内容を周知する方法というのは、大体二通りあるのだろうと思うと言っていました。
1点目は、埼玉県視覚障害者の生活と権利を守る会だったり、日本盲人会連合といった視覚障害者の団体の皆さんに周知をするということです。
2つ目が、ちょっと先ほども音声版の話がありましたけれども、デイジー図書の発行する選挙のお知らせのCDだと思うのですけれども、ここに投票の仕方だったり、今回変わったことだったりを簡潔につけ加えるのがいいのではないかという意見もありました。
そこでお聞きしたいのは、この選挙公報の音声版の中で、点字投票における支援の仕方だったりといったことは周知しているのか。ちょっとそこだけ教えてください。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] お答えいたします。
この音声版におきましては、点字投票の方法についての説明は載せていないところでございます。
◆竹腰連委員 今後、載せるとか、あるいは、多分CD1枚で来て、それぞれの候補者の情報を全て1枚にまとめていると思うのですけれども、それを聞いて、最後にその部分を入れてしまうと、そこまで聞けないという人もいたので、2枚に分けて、1枚は、その選挙公報のCDとして出して、もう1枚は投票の支援についてとか、そういう内容についてのCDがいいのではないかというような話が出たのですけれども、そういうことは検討されているのでしょうか。
◎選挙管理委員会事務局副理事[調整担当] 今後とも、視覚障害者あるいはその団体の方の御意見を参考にしながら、よりよい選挙の周知に努めてまいりたいと考えております。
◆竹腰連委員 ありがとうございます。
視覚障害者のみならず障害者の皆さんの社会参加が叫ばれている中で、投票しようと思ってもらうことが、本当に今必要だと思います。それに対しては、やはり当人たちへの周知が必ず必要になってくると思うのです。
今行っている取り組みをさらに広げていくというのは、本当に当然のことなのですけれども、それ以外にも、先ほど言っていたような選挙公報のCDに投票の仕方を周知する。あるいは投票公報車がありますが、あの宣伝カーの中に一言、点字投票ができますというようなことをつけ加えていただくとか、今は防災無線での投票呼びかけというか、投票日の告知は行っていないとこの前聞いたのですけれども、もしそういったことがあれば、そこを通じて、点字投票できますと、そういった、本当にいろいろな取り組みをぜひ検討していただきたいと思うのです。
視覚障害者の皆さんは、音でしか情報を得ることができないので、今後、行政が率先して、さまざまな取り組みを行っていただくことを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
○玉井哲夫委員長 以上で、竹腰連委員の質問を終了いたします。