「核兵器禁止条約について」「給付制奨学金を求めて」「コミュニティバスの運行を」令和1年一般質問

令和1年 一般質問「核兵器禁止条約について」「給付制奨学金を求めて」「コミュニティバスの運行を」

 

◆竹腰連議員 日本共産党の竹腰連です。最年少の議員ですが、若い世代の声を届けられるように全力で質問します。どうぞよろしくお願いします。

 初めに、核兵器禁止条約について伺います。2017年に核兵器禁止条約が採択されて、もうすぐ丸2年がたとうとしています。この条約は、史上初めて核兵器を違法化した条約ですが、現在批准23カ国、署名70カ国と、発効条件の批准50カ国まで残りわずかです。さらに、NPT再検討会議が来年の4月に行われます。今、核なき世界に進むという課題が国際政治の焦点ともなっています。私は実際、核兵器禁止条約に関する国連会議に市民代表として参加して、条約作成の過程を生で見てきました。だからこそ、この条約の持つ意義を3点訴えたいと思います。

 1点目は、国際条約に核兵器禁止条約が入ったという意義です。考えてみれば、200年前は奴隷制度が、100年前は侵略戦争が合法でした。しかし、現在はいずれも国際条約によって禁止されています。その国際条約の中に、核兵器の禁止が新たに入りました。百年、二百年というスパンで見たとき、歴史的な意義があると思います。

 2点目は、被爆者や市民の方々の要求が核兵器の禁止、廃止から、批准国の拡大に変化したことです。市長も署名されましたヒバクシャ国際署名も、現在では971万筆を超え、要求の変化の根幹には、この条約に世界中の国がサインをすれば核なき世界が実現できるという確信があるからです。

 3点目は、その要求を実現することができるのは、市民社会だけだということです。私が国連に行った際、元国連軍縮問題担当上級代表のセルジオ・ドゥアルテ氏は、市民社会の活躍で条約は採択できた。しかし、国連の側から参加を促すことは難しい。市民が政府に働きかければ、政府は変化していく、その国を変えることができるのは市民社会だけだと発言をしていました。

 御承知のとおり、唯一の戦争被爆国、2度も核兵器を使用された日本政府は、いまだにこの条約に、批准どころか署名をしようともしません。平和都市宣言をしているさいたま市、そして平和首長会議に参加されている清水市長、現在全国の自治体の2割を占める377の自治体が、国に対して核兵器禁止条約に署名するべきという趣旨の意見書を上げています。ぜひ本市でも市長がイニシアチブを発揮していただいて、国に条約参加を促す意見を上げていただきたいと思いますが、見解を伺います。

 

◎山崎正弘総務局長 竹腰連議員の御質問の1、核兵器禁止条約についてお答えいたします。

 平成29年7月に国連において核兵器禁止条約が採択されて以降、国内外において核兵器に関するさまざまな議論がなされており、また令和2年の核兵器不拡散条約発効50周年に向けて、国際社会における核軍縮、核廃絶に向けた機運は高まってきております。

 一方、安全保障などに関する立場の違いから、関係する国々の対話が困難となってきており、具体的な議論が進展していない状況も見られます。現在国は、核兵器禁止条約に署名はしておりませんが、世界で唯一の戦争被爆国として、核兵器国と非核兵器国の双方の有識者から成る賢人会議を設置し、その成果を国際社会に発信するとともに、1994年以降、毎年国連総会に核兵器廃絶決議案を提出し、核兵器国を含む幅広い立場の国々の支持を得て採択されるなど、国際社会における橋渡し役として、さまざまな努力を積み重ねております。

 核兵器禁止条約を実効性のある条約とし、真の意味において核兵器のない社会を実現し、それを永続的に維持していくためには、核兵器国を巻き込んだ取り組みは欠かすことができません。平成30年11月の賢人会議第3回会合、本年3月の第4回会合における、現下の状況において核軍縮を進めるための国際社会の取り組みに関する議論を踏まえ、取りまとめられました京都アピールの中では、各国が核軍縮措置を履行することに役立つ革新的な考えを育み、また対立する当事者間の相互理解及び協力を育む際の市民社会の貢献を尊重することなどが示されております。今最も重要なことは、こうした議論を踏まえ、核兵器国と非核兵器国の信頼を構築し、市民社会の理解と支えのもと、国際社会が一致して核兵器のない社会の実現に向けて歩みを進めていくことであろうと考えております。

 本市といたしましては、国の動向や国際社会における議論を注視しながら、平和首長会議加盟都市と連携し、被爆の実相や核兵器の恐ろしさを市民、特に未来を担う若い世代に伝え、核兵器廃絶に向けた機運醸成にしっかりと取り組んでまいります。

 

◆竹腰連議員 ありがとうございます。核保有国を巻き込んだ取り組みが必要だと御答弁されました。しかし、この条約は、実は立場の違いを乗り越えて条約を発効させるような工夫がさまざまされているのです。例えば前文には、NPTはもちろんCTBT、国連憲章、国際人権法など、核保有国も同意をした条約が根拠になっています。そして第4条を見ると、核保有国は核兵器を保有したまま条約批准をすることを可能としています。だからこそ、唯一の被爆国である日本がこの条約に参加して、条約の中から保有国にぜひ参加をしてくれと訴えるのが、皆さんの言っている橋渡しという意味になると私は思います。

 そのことを踏まえて、ぜひ市長には国に意見を上げることを再度、見解を伺いたいと思います。

 

◎山崎正弘総務局長 竹腰議員の再質問にお答えいたします。

 繰り返しになりますが、今最も重要なことは、核兵器国と非核兵器国の信頼を構築し、市民社会の理解と支えのもと、国際社会が一致して核兵器のない社会の実現に向けて歩みを進めていくことだと考えております。

 そのため、本市といたしましては国の動向や国際社会における議論を注視しながら、平和首長会議加盟都市として、核兵器廃絶に向けた機運醸成に取り組んでまいります。

 

◆竹腰連議員 ありがとうございます。本当に次の世代に核なき世界を手渡すためには、条約批准、そして発効が一番の近道だと私は思います。この問題については、引き続き取り上げてまいりたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。次に、奨学金制度について伺います。現在、日本の大学初年度納付金は、国立大学で平均約80万円、私立大学で約130万円です。一般家庭で自己負担できるような金額を大きく超えているのではないでしょうか。その証拠に、2.7人に1人が奨学金を借りて大学に通っています。市長は、学生、保護者にとって学費が重いという認識があるのか、見解を伺います。

 国では、大学学費無償化法が成立しましたが、その対象は全体の1割に限定されており、中間層が置き去りだという批判も出ています。この間、高等教育無償化プロジェクトFREEという学生団体が、昨年の9月から12月末にアンケートを実施し、140の大学、専門学校の学生1,457人から回答が寄せられた結果を記者会見で発表しました。調査結果では、進学に当たって59.5%の学生が学費を判断基準にしたと回答し、奨学金利用者だけに絞ると、70.7%の学生がしたと回答しています。アンケートに回答した学生の声を見ると、東大理科二類を受けたが落ちた。早慶の理工と経済では学費が50万円違うので、経済にした。大学受験時に学費が高いところでは受けられなかった。4年制大学に行きたかったけれども、短大しか無理といった声が寄せられております。また、全体の91.3%の学生がアルバイトをしており、そのうち5割を超える学生が、学習、睡眠時間が削られていると回答しています。ある学生は、したい勉強よりもお金をためるのが先、深夜バイトを入れ過ぎて体調を崩したと訴えています。

 また、高校生の声も御紹介します。2017年に行われた全国高校生1万人アンケートでは、1万4,371人の高校生から回答を得て、給付型の奨学金をふやしてほしいと回答したのが全体の59.7%、無利子の貸与型の枠をふやしてほしいと回答したのが27.1%、有利子奨学金をなくしてほしいと回答したのが17.6%となっています。こうした学生や高校生の切実な声をどのように受けとめますか、市の見解を伺います。

 

◎久保田章副教育長 竹腰連議員の御質問の2、奨学金制度について、(1)高校生・学生の置かれた現状の認識についてお答えいたします。

 大学等への進学率は年々向上しており、文部科学省の平成30年度の学校基本調査によれば、高校等を卒業して大学や専門学校等へ進学した方の割合は8割を超えているところでございます。一方、ひとり親世帯では約4割、生活保護世帯では約3割と、家庭の状況によって大学等への進学率に差があらわれており、家庭の経済的背景と大学等への進学率に相関関係が見受けられるところでございます。

 また、文部科学省が平成26年に実施した、学生の中途退学や休学等の状況に関する調査におきましては、経済的理由による中途退学者の割合が、停学や成績不振による中途退学者の割合よりも多いと承知しているところでございます。

 教育委員会といたしましては、家庭状況にかかわらず学ぶ意欲のある方が進学を諦めることのないよう、就学の支援をすることが重要であると考えてございます。本市の奨学金貸付制度でございますが、多くの方に利用いただけるよう成績要件を設けず、所得による審査のみで無利子で貸し付けを行っているところでございます。さらに、一定の要件を満たした場合には、返還金の一部を免除する新たな返還支援制度を創設する条例改正案を今定例会に提出させていただいたところでございます。

 

◆竹腰連議員 ありがとうございます。さまざまな状況があるというふうな回答をいただきましたが、私は、市は学生の本当の実態を把握されていないと思うのです。例えば現在、多くの学生が国の学生支援機構の奨学金を利用していますが、市は学生支援機構の奨学金を利用している本市の学生数、平均利用額を把握していません。また、経済的理由で中退をした本市の学生数、奨学金に絡む自己破産の件数も市は把握していません。昨今、学生を取り巻く状況は厳しくなる一方です。こうした状況を行政として把握していないというのは、大きな問題があるのではないでしょうか。本市の学生の状況を市としてしっかりと調査するべきだと思いますが、見解を伺います。

 さらに、先ほど答えていただきましたが、本市では7,000万円の予算を組み、さいたま市奨学金貸付けという制度を行っていますが、その基準は学生支援機構の一種に準じていて、厳しい基準になっています。また、国が給付型の奨学金制度を始めたことに伴い、そちらを利用する学生もふえ、用意した予算に対して余裕がある状況だと聞いています。今必要な支援は、低所得者世帯対策ももちろんそうですが、全ての学生がお金の心配なく学べる環境を支援することではないでしょうか。

 そこで、1、さいたま市奨学金貸し付けの基準を緩和して、加えて予算をふやして抜本的に対象者をふやすこと。2、20ある政令市のうち13市で行っている給付型の奨学金制度を実施することを求めますが、見解を伺います。

 

◎久保田章副教育長 竹腰連議員の御質問の2の(2)市内在住の学生の奨学金利用者の実態調査についてお答えいたします。

 本市の奨学金制度につきましては、利用者が貸し付けを辞退される場合や、次年度以降貸し付け継続を希望しない場合には、辞退届の辞退理由をもとに状況の把握を行ってございます。本市以外の奨学金貸付制度につきましては、国や地方公共団体で実施しているもののほか、企業で実施しているもの等、さまざまな種類がございます。また、個々の家庭の事情により奨学金を借りる時期や種類もさまざまでございます。これらの奨学金の貸付制度の多くは、在学校の校長推薦など学校を通じて申請されることから、教育委員会で所管している市立高校4校の状況につきましては把握してございますが、教育委員会の所管ではない市立高校以外の学校の学生の奨学金利用者の実態につきましては、把握が非常に難しいものと考えているところでございます。

 続きまして、(3)給付型奨学金制度創設についてお答えいたします。

 初めに、給付型奨学金の創設についてでございますが、安定的な財源の確保や対象とする人数が限定されるなど、さまざまな課題があるものと考えてございます。こうした点も踏まえ、本市奨学金制度に新たに償還免除制度を創設し、償還に係る負担の軽減を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 本市の奨学金貸付制度は、限られた財源の中で経済的に困窮している世帯に広く貸し付けを行うため無利子であり、貸し付けに当たっては成績要件を設けてございません。また、所得基準につきましても日本学生支援機構の基準を準用し、審査をしているところでございます。

 議員から御質問の所得基準の緩和につきましては、対象者がふえた場合には貸付額の減少につながるおそれもありますことから、現行の基準を維持してまいりたいと考えてございます。今後も国の動向を注視しつつ、利用しやすい奨学金制度について研究してまいります。

 

◆竹腰連議員 ありがとうございます。私は、今の認識のままでは本当にまずいと思います。国の動向を踏まえてどうするかというのを決めていくと答えられましたが、きちんと本市の学生の実態は、本市として把握をしていくべきだと思うのです。難しいかもしれませんけれども、やらないと、どういう奨学金が必要なのかというのが見えてこないと思うのです。

 先ほど高校生とか大学生の声、みずから自分たちで調べて、こういう現状だから、もっとしっかりした奨学金制度をつくってほしいとずっと訴えてきているわけなので、ぜひ調査をしていただきたいと思いますし、また再度見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

◎久保田章副教育長 竹腰議員の再質問にお答えいたします。

 どのような形による調査、アンケート等であれば実態把握が可能なのかどうか、そういった点を含めて研究してまいりたいと考えております。

 

◆竹腰連議員 ぜひ研究して、本当に実施していただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、今求められているのは、本当に全ての学生がお金の心配なく学び、そして進学ができる環境をつくっていくことだと思います。ぜひよろしくお願いします。

 最後に、コミュニティバス等導入ガイドラインについて質問します。私は、選挙前、選挙中と多くの方から、コミュニティバスを走らせてほしいという声をかけられました。例えば区役所に、そして市役所に行けなくて困っている。病院に行けなくて困っている。免許を返納して交通手段がなくて困っている。中央区にコミュニティバスを走らせてほしいという声です。さらに言うと、コミュニティバスの運行、そして充実は、全市的な要求にもなっています。しかし、このガイドラインがコミュニティバス実現の障壁となっている現状があると思います。

 ガイドラインによると、住民がルートを作成する。住民が自治会の同意を得る。住民が収支率40%の計画を立てる。本来市が検討すべきことを、市民に押しつけているようなガイドラインにしか私は見えません。実際コミュニティバスを運行してもらいたいと考えている市民の皆さんから、ガイドラインは市民側の負担が重過ぎる、ガイドラインを見て諦めた、そんな声がありました。市は、そういった認識をしているのでしょうか、見解を伺います。

 そして、自分の住んでいるまちで、自分の行きたいところに行けるようにしてほしいという市民の要求が、入り口でシャットアウトされている状況を改善するためにも、ルートの作成、運営、財政支援などは、市の責任でしっかりと行うべきだと考えますが、見解を伺います。

 

◎望月健介都市局長 竹腰連議員の御質問の3、コミュニティバス等導入ガイドラインの見直しについてお答えいたします。

 本市では、コミュニティバス等を路線バスが不十分な地域へ導入する補完交通と位置づけ、交通空白地区や交通不便地区等を導入検討対象地域とし、地域住民の足の確保を図っているところでございます。ガイドラインにおいては、コミュニティバス等の本格運行への移行のためには、実証運行開始後3年間で収支率を40%以上とすることが必要となります。このガイドラインは、市だけではなく、学識関係者や公募の市民の方を含む地域公共交通会議において検討し、策定、改定したものであること。また、策定後に新規導入した地区において本格運行に移行した地区もあることから、収支率等の基準については適切であると考えております。

 議員から御質問の市民がコミュニティバス等を導入しやすくするためにガイドラインを見直し、収支率40%の条件を緩和すべきではとのことにつきましては、平成29年11月に改定したばかりでありますので、ガイドラインの見直しの時期や内容は、今後の地域公共交通協議会の議論の推移を見据える必要があると考えております。

 地域組織の負担の軽減につきましては、地域公共交通の充実には、地域の方々、市、運行事業者が協働で取り組むことが重要と考えており、地域のことを最もよく知っている地域住民の方々が中心となって問題を共有し、守り、育てることが不可欠と考えております。このような方法で、これまで3つの地域で本格運行、2つの地域で実証運行、与野、桜区など2つの地域で導入に向けた検討を行ってきており、その際地域住民の方々に過大な負担とならないよう、市や運行事業者が積極的に支援しておりますし、これからも支援してまいる所存でございます。

 

◆竹腰連議員 支援していくというのは、本当に大切なことだと思いますけれども、このガイドラインが設定される以前に運行を開始したコミュニティバスは、収支率40%を求めていないですよね。なのに、ガイドライン設定後は求められてしまって、住民の皆さんにとって一番のハードルになっている。これはおかしいと思います。高齢者の皆さんには免許の返納を促しているのに、新しい交通手段を実現しようと思ったら、そのハードルは高い。そもそも住民福祉と収支率という発想はなじまないと思いますが、再度見解を伺いたいと思います。

 

◎望月健介都市局長 繰り返しになりますが、コミュニティバスであります地域公共交通の充実には、地域の方々、市、運行事業者が協働で取り組むことが重要と考えておりますので、皆さんの力を合わせて検討していきたいと考えております。