令和2年2月議会 本会議討論

◆竹腰連議員 日本共産党の竹腰連です。会派を代表して、議案、請願に対する討論を行います。

 議案第36号、第46号に反対の立場から、請願第4号、第5号、第6号は委員長報告に反対の立場から討論をいたします。

 初めに、議案第36号「さいたま市個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例の制定について」は、反対の立場で述べます。

 この条例は、マイナンバー制度の国の法改正により条例を変更するものですが、そもそも私たち党市議団は、このマイナンバー制度に反対なので、反対です。

 マイナンバー制度は、この間、普及率を増やすために様々な誘導策が講じられてきましたが、一向に普及が進んでいない現状です。さいたま市のマイナンバーカード普及率も、11月1日現在で14.1%と非常に低い水準です。これは、マイナンバー制度の導入目的が、国民の所得、財産や様々な個人情報を国によって管理できることであり、決して国民はそのようなことを望まないと考えているからです。この現状から、早期にこの制度を廃止すべきと考えています。

 今回の改正では、マイナンバーを活用する制度が整理され、削除されるものもありますが、全体としてはマイナンバーを活用する制度が1つ増え、拡大することは認められません。さらに、行政内部で連携して活用する項目が増えることも、情報漏えいにつながる機会が増えることになるため、認められません。

 この間、マイナンバーの関係はセキュリティー強化、マイナポイント、戸籍とひもづけと、システムが変更されるたびに、数百万円から、時には数千万円の多額の税金が投入されています。この先も、一体幾ら税金が投入されるか全く見通せない状況です。政府は、マイナンバー制度の導入の目的に、行政の無駄をなくすということを挙げていますが、この税金の使い方そのものが無駄であり、浪費です。このようなことから、この条例案には反対いたします。

 次、議案第47号「さいたま市国民健康保険税条例の一部を改正する条例の制定について」は、反対の立場で述べます。

 この条例は、国保税の課税限度額と税率を引上げ、均等割減額の見直しによって市民負担が総額約4億6,500万円増える条例であります。このまま国保税が引き上げられれば4年連続の値上げで、その累計負担総額は16.7億円に上ることになってしまいます。経済の動向を見ると、昨年10月から12月期のGDPは、年率換算でマイナス7.1%と大幅なマイナスになりました。

 また、議案質疑において、市民の平均所得はここ5年間で少しずつ回復していたのに、今年度は前年比マイナスに転じてしまいました。さらに、税負担を見ても平均世帯で10年前に比べて1.5倍に増えています。具体的に言うと、税負担が25万円から40万円に増えている状況であります。市民の暮らしが厳しいことは明白で、その上消費税の増税が行われました。こうした現状に加え、国保税を引き上げるこの条例は到底認められません。そもそも国保の加入者は、加入世帯の4割が年金生活者などの無職、3割が非正規労働者で、低所得者が多く加入する医療保険です。その一方、平均保険税は4人世帯の場合、同じ年収のサラリーマンの健康保険税の倍近くになります。

 全国自治会、全国市長会、全国町村会は、加入者の所得が低い国保がその他の医療保険よりも保険料が高く、負担が限界になっているこの現状を、まさに国保の構造的問題だということを指摘し、これを解決するためには、公費の投入や国庫負担を増やすことで、国保税を中小企業者が加入している協会けんぽ並みに引き下げることが必要だということを求めています。

 さらに、問題として挙げられるのは、生活が厳しく消費税が上がり、国保税が上がれば、支払いたくても支払えない人を増やすという問題があります。その下で、生活が苦しく、国保税を滞納した人が財産、給与、あるいは年金を差し押さえられ、さらなる窮地に追い込まれる事例が本市でも発生しています。こうした事例をなくすためには、引上げではなく引下げこそが求められているのではないでしょうか。さいたま市として、国に対してしっかりと財政措置を行うことを求め、国保の構造的問題の解消を図る努力をしていくべきだということを主張し、反対討論といたします。

 次、請願第4号「芝川、綾瀬川流域への狩野川台風級の豪雨に対する大規模水害対策を早急に講じることを求める請願」には、採択の立場で討論をいたします。

 本請願は、署名638人分と併せて提出されました。昨年台風19号による被災を受け、減災、防災対策を早急に進める必要があるということを住民の方は強く願っています。河川、治水対策の推進と住民の避難に資する施策の提案、被災住民への支援がその内容で、いずれも必要な施策ということを考えます。

 芝川第一調節池も工事が進みつつありますが、いまだに完成は見通せません。また、洪水等ハザードマップの改定も十分な降雨量を見込んでほしいというもので、当然のことです。防災無線についても、戸別受信機の無償貸与は、市民の安全と必要な情報を届ける上で必要です。農作物の被害も、参考意見聴取ではなかったということでしたが、これは事実と全くかけ離れており、補償制度の創設とともに被害状況を積極的に把握すべきです。新見沼大橋有料道路についても、災害時無料化に向けて執行部がしっかりと取り組むように促すためにも、本請願を採択することを主張いたします。

 次、請願第5号「特別養護老人ホーム待機者をゼロにする請願書」については、採択の立場で討論をいたします。

 本請願は、特別養護老人ホームの待機者が昨年6月定例会の時点で1,003人おり、8か月も経過しているにもかかわらず、一向に減る気配がないことから、さいたま市第7期介護保険計画の未達成分の早期実現と入所促進を求め、340に上る空きベッド解消を求める請願です。しかし、質疑で明らかになったのは、第7期計画の未達成分の前倒し分を含め、令和2年度から令和5年度までで充足するというもので、この中には340の空きベッドを埋めることも含まれています。待機者が1,003人もいるのに空きベッドが埋まらない理由は、介護職員の処遇改善が進まないことに尽きると思います。

 請願者は、空きベッドを早期に解消し、待機者ゼロに近づくために事業所と連携して介護職員の確保を求めています。この点では、国の処遇改善対策を頼りにするだけで、さいたま市として具体的な対策は、事業者と連携してとしか示されませんでした。これでは、いつまでたっても待機者をゼロにすることはできません。

 よって、本請願の願意は妥当であり、採択すべきということを主張して討論といたします。

 最後です。請願第6号「学校給食費の値上げを保護者負担としないように求める請願」については、採択の立場から討論をいたします。

 本請願では、さいたま市が4月から行おうとしている学校給食費の値上げに対して、子育て中の保護者が家計を切り詰めて生活している子育て世帯にとっては、給食費の値上げは大打撃であると、どうか少子化の中で頑張る子育て世帯を応援してくださいと訴えています。

 質疑の中で、この値上げで小学校から中学校までの9年間で、子供1人当たりに係る給食費の総額は45万8,000円に上ることが明らかになりました。軽自動車が買えるような金額であります。若い世代は、この金額を目の当たりにして、子供を持つことにちゅうちょが生まれてしまうのではないでしょうか。こうした現状こそ変えていく必要があり、値上げなどは論外で、絶対に認められません。

 少子化が社会問題となっている下で、子供が多いほど負担が増える給食費の値上げは認められません。参考意見聴取で、政令市でも4月からの値上げを決めているのは4市のみということが明らかになりました。中でも大阪市は、小中学校の給食費は無償化を検討しているという報道もありました。また、中核市で初めて兵庫県明石市が4月からの中学校の給食費を無償化にする予定です。さいたま市は、値上げの理由は物価上昇のためとしていますが、物価が上昇しているならば、家計の負担も上昇しています。その上、消費税増税のタイミングでの値上げとなれば、子育て世帯の負担は計り知れません。

 そんなときに、そうした現状を無視して給食費を値上げするのか、それとも苦しい家計を支えるために給食費を値下げや、あるいは無償化にするか、市政がどこを向いているかが、まさに問われている問題であります。さいたま市は、就学援助があると言いますが、その対象範囲は狭く、対象であっても就学援助を受けていない保護者の方々が多数残されています。

 また、不採択の討論では、学校給食運営研究会で十分検討してきたという主張もありました。しかし、この研究会は、開催日時も、委員も、議事録も、一切公開されていませんでした。当事者である保護者には、検討されていること自体が全く知らされていないのです。当事者がいないところで検討してどうするのか、このことを訴えたいと思います。

 また、昨年7月に値上げを決めていたため、10月の消費税増税のタイミングとは関係ない、だからこの請願は事実誤認であるという主張もありました。増税と値上げが同時期に行われるということは、紛れもない事実であります。

 るる述べさせていただきましたが、今回予定されている値上げの影響額は、約3.2億円です。請願文にもあるように、1日限りのイベントに同額予算を使うさいたま市です。市で負担することは難しいことではありません。学校給食費の値上げを保護者負担にしないでくださいという保護者の願いに耳を傾け、本請願を採択することを求めて討論といたします。

 以上です。ありがとうございました。(拍手起こる)