令和1年12月議会 本会議討論 

◆竹腰連議員 日本共産党の竹腰連です。会派を代表して、議案、請願に対する討論を行います。

 議案第160号の修正案、第163号に賛成の立場から、議案第155号、第161号、第169号、第170号、第173号に反対の立場から、請願第48号、第49号は委員長報告に反対し、請願の採択を求める立場から討論いたします。

 初めに、議案第155号「令和元年度さいたま市一般会計補正予算(第7号)」について、反対の立場で述べます。本議案は、学習支援事業の見直しなど必要な内容も含まれていますが、情報システム最適化事業と戸籍住民基本台帳事務事業はマイナンバーカードの取得を促進しようとするものであり、認められません。党市議団は、個人情報を国家が管理するマイナンバーの導入や推進そのものに反対してまいりました。2015年に始まったこの制度ですが、昨年秋の内閣府が行った世論調査では、53%がカードを取得する予定がないと回答し、そのうち26.9%が取得しない理由を、個人情報の漏えいが心配と答えています。先日も神奈川県で大量の行政データが流出する事件が起きるなど、個人情報の流出について市民は大きな不安を抱えている状況です。

 さいたま市のカード交付率は、11月1日現在で14.1%と非常に低い状況です。しかし、その一方でカードの交付率を上げようと、国の閣僚会議では消費活性化対策において、マイナンバーカードを活用したマイナポイントの打ち出しがありました。これはマイナンバーカード取得者が、総務省運営のホームページで電子証明書を使用し登録、その上マイナポイントをオンラインで購入し、政府がそのポイントに上乗せする計画であります。マイナポイントは電子マネーとして、店舗やオンラインショップで、現金のかわりに使用することができるということであります。

 しかし、その手順が複雑な上、パソコンやスマートフォンが必要で、高年齢者や低所得者には利用しにくい状況なのは明白です。さらに、そもそもカードを持っていない人を排除してしまっています。議案に対する質疑において、マイナンバーカードを活用したマイナポイントの経済効果について質疑した際に、さいたま市は経済効果につきましても、国のほうから何らかの形で、何らかの時点で、それなりの考えというものが示されるのではないでしょうかと考えているところでございますという答弁がありました。この答弁、つまり現状で効果があるかは何ら把握していないし、国も何ら示していないということになってしまいます。そんな状況で、この事業に市民が納めた税金を投入するべきではありません。安全性も担保されていないが、消費活性化対策と位置づけ、マイナンバーの必要性をあおるこの政策に、補正予算を組んでまで進めようとするということは認められません。

 政府は2020年度末、つまり来年度末までに6,000万枚から7,000万枚のカードの発行を想定しており、本市でも市民の約半数が持つことを想定しています。政府はマイナンバーカード導入の大きな理由に、効率化で行政の無駄をなくすということを挙げていますが、この政策自体が無駄であり、浪費なのではないでしょうか。本市でもこの取り組みに合わせて進めば、必要額は今後数千億円に達するおそれがあり、国に対してやめるように意見を上げるべきです。以上の理由から、本議案には反対いたします。

 次、議案第160号「さいたま市議会の議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例の制定について」、修正案に賛成するという立場で述べます。本議案は、議員の期末手当の引き上げを行う条例案です。そもそも私たち日本共産党さいたま市議団は、期末手当の引き上げには反対という立場であります。市民の生活が上向かず、むしろさまざまな負担がふえている中で、期末手当など報酬を引き上げるべきではないと考えているからです。私たち党市議団は、特別職の報酬審議会の答申を尊重するとしても、議会としてみずから引き上げの判断はできると考えています。報酬審議会の引き上げは妥当という答申を最大限に尊重するという議員各位の御意見は理解できますが、議会で慎重に市民生活との均衡を考える必要があるのではないでしょうか。

 しかし、今回の条例案は、1、施行期日を令和3年4月1日まで延期し、実質的には引き上げによる増額分を議員が受け取るということはないこと、2、修正案を含む条例案の議決によって、今後報酬等のあり方についても施行日前に改めて議論するということ、この2点が委員会の審議で明らかになりました。改めて審議が行われた場合、当市議団としても期末手当の引き下げや適正な報酬にすることなどの措置を提案させていただきたいと考えています。しかし、このたびの措置によって、2年連続期末手当の引き上げを行わないということになりました。これはさいたま市民の世論の反映であり、理解できます。以上の理由から、本議案の修正案には賛成いたします。

 また、我が市議団の立場を転換したという方がいる場合には、今述べた事実をねじ曲げた議論であると言わざるを得ませんということを一言申し添えさせていただき、次に移ります。

 次、議案第161号「さいたま市特別職の職員で常勤のものの給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について」、反対の立場から述べます。本議案は、市長や副市長の期末手当を0.05カ月分引き上げる条例であります。先ほど議案第160号の討論の中でも述べましたが、市民生活が上向かず、負担が上がる中で、期末手当を上げるべきではないと考えるのが私たちの立場であります。

 議案の質疑では、この間の連続値上げによって、市長の報酬は10年前と比べて年収ベースで133万円値上げされているということが明らかになりました。しかし、その一方、この10年間で市民の暮らしはどうかというと、平均給与所得は10年前と比べて9万円の減少、65歳以上の平均年金所得は10年前と比べ19万円の減少、さらにこの間の税改正で平均世帯の税負担は2011年比で13万円増、その上消費税は10年前5%だったものが、相次ぐ増税により倍の10%に引き上げられ、市民の暮らしが上向いていないというのは明白であります。幾ら特別職の報酬等審議会の答申によるものとはいえ、この引き上げには到底道理がありません。一度立ちどまり、市民の納得を得られるか考える必要があります。以上の理由から、本議案には反対いたします。

 次、議案第163号「さいたま市立学校設置条例の一部を改正する条例の制定について」は、賛成の立場から述べます。本議案は、大宮西高等学校の閉校に伴い、大宮西高等学校を条例において削除するものであります。この間、2014年に中等教育学校の方針が出された際には、大宮西高等学校をなくさないでと、当時の生徒会長がほぼ生徒全員分の署名を提出し、さらにこれに加えて卒業生や保護者などからも同様の署名が提出され、その総数は2,889筆にもなりました。そうした願いを顧みず、市は大宮西高等学校を閉校し、国際バカロレア認定を目指す中等教育学校をまさにその場所につくったということは大変遺憾です。

 しかし、来年3月には最後の3年生が卒業し、大宮西高等学校の生徒は事実上いなくなってしまうということから、改正はやむを得ないと考えています。今、卒業生を中心に実行委員会が立ち上がり、大宮西高等学校への感謝を伝える取り組みが企画されているということで、3月21日には閉校式も行われるそうです。本当に卒業生や保護者、地域の皆さんに愛されているんだと実感しますし、卒業生の気持ちを思うとじくじたる思いであります。市は、大宮西高等学校の伝統を中等教育学校に引き継ぐと表明しているわけでありますから、どのように引き継がれていくのか、これからもしっかりと注視していくことを表明し、本議案には賛成いたします。

 次、議案第169号「さいたま市文化会館条例の一部を改正する条例の制定について」は、反対の立場から述べます。本議案は、市民会館うらわが老朽化し、市有建築物耐震化実施計画の目標期限が令和2年度末となっているということで、供用休止を行うこと。加えて市民会館おおみやの移転に伴い、位置、利用時間、利用料金の変更を定めるものです。市民会館うらわの休止は耐震化に伴うもので、市民の安全を考えればいたし方ないと考えますが、解体後にその場所に建てかえるのではなくて、浦和駅西口南高砂の再開発ビルに入れるということは認めることができません。

 委員会の質疑では、市民会館うらわを既存の今ある場所に建てかえた場合は、費用は70億円なのに対して、移転した場合は120億円費用がかかるということが明らかになりました。さらに、工事期間についても、建てかえれば3年から3年半、移転では最短でも4年かかるということも明らかになりました。しかも、移転計画についてはあくまで予定で、計画どおりの費用、移転期間でできるという確証はどこにもありません。これまで計画どおりにならなかったという事例もたくさんあります。

 さらに、市は駅前への移転によって利便性が向上し、文化の一層の発展につながるというような答弁をしていますが、市民会館うらわは今の場所で築き上げてきた歴史、文化があり、今の場所でなければできない催し物もたくさんあります。そのような市民が築き上げてきた文化を捨てて、駅前のビルに市民会館うらわを入れるということが、本当に正しいのか問われていると思います。このまま市の計画が順調に進んだとしても、1、コストは倍近くかかるということ、2、市民が市民会館を利用できない期間がさらに延びてしまうということ、3、文化の継承ができないということ、この3点は認めることができません。

 また、市民会館おおみやの移転において、これまで当市議団はコストが大幅にふえるということから反対してまいりましたが、本議案では利用料金の引き上げが提案されており、市民の使いやすさを阻害してしまうことになってしまいます。よって、これも認められません。以上の理由から、本議案には反対いたします。

 次、議案第170号「さいたま市産業振興ビジョン審議会条例の一部を改正する条例の制定について」は、反対の立場から述べさせていただきます。本議案は、産業振興ビジョンの審議会設置条例であります。これによって、今まであった既存の4分野、産業政策、労働政策、観光政策、国際化政策の附属機関が廃止され、産業振興ビジョン審議会に一本化されることになります。これにより、実情に合わせた計画作成や既存の計画の引き継ぎができるかどうかという不安が残るものです。さらに、廃止される4分野の計画が具体化された際に、補完計画の策定も不十分と言わざるを得ません。現状のままでの一本化には賛成することができません。よって、本議案には反対いたします。

 次、議案第173号「訴えの提起について」は、反対の立場から述べます。本議案は、高等学校入学準備金について、主債務者から返済がなく、連絡もとれないため、裁判に訴えて返済を求めるものであります。委員会の質疑の中で、返済を求めるために、家族や連帯保証人への接触は試みられていますが、肝心の債務者本人とは接触できておらず、就業状況や生活状況がどのようになっているかということが把握できていないということも明らかになりました。奨学金という性格から見ても、裁判まで起こして返済を求めるというのは、本人との接触はもちろん、現在の生活状況をしっかりと聞き取る必要があると考えます。以上の理由から、本議案には反対いたします。

 次、請願第48号「国民健康保険県単位化による保険税水準の統一はやめ、税負担の軽減を求める請願」について述べます。本請願は、表題のとおり国民健康保険税の県単位化による保険税の統一をやめ、負担軽減を求めるものです。そもそも国民健康保険税の県単位化による保険税の統一は、同一県内で同じ所得、同じ家族構成であれば、県内どこでも同じ保険税にするというものです。これは一見すると公平のように見えますが、自治体で国民健康保険税の金額が変わるのは、それぞれの地域によって受けることができる医療に差があるからです。この理由を全く考慮せず、加えて国からの補助金が減らされる中で税水準を統一すれば、保険税の大幅な引き上げにつながる可能性があります。

 国民健康保険運営協議会も埼玉県は当面統一を考えないとしながらも、将来は本市を含めて必要な制度だと考えているということが、参考意見で示されました。また、同協議会では、現代の人頭税とも言える均等割の18歳未満の免除についても考えていないということが、県議会で示されてしまいました。子供がふえるたびに保険税が引き上げるこの仕組みが、少子化をさらに推し進め、子育て政策とも逆行するもので、極めて遺憾であります。本請願の趣旨は、国民健康保険税は自営業者、無職、低所得者が多く加入している社会保障制度であり、保険料は極力低く抑えることが強く求められるというものです。よって、本請願の願意は妥当であり、採択するべきです。

 最後です。請願第49号「ゆきとどいた教育を進めるための30人学級実施を求める請願」について述べます。本請願は、さいたま市独自で30人学級を実現すること、当面は小学3年生と中学3年生で35人学級を実施することを求めています。昨今の日本社会では少子化が叫ばれていますが、本市の児童生徒はふえており、多いままです。1クラスの児童生徒数が35人を超える学級の割合は、政令指定都市平均が小学校12.3%なのに対して本市は32.9%、中学校では政令指定都市平均が37.1%であるのに対して本市は60.1%と、いずれも政令指定都市平均の倍近い数字になってしまっています。小学2年生から小学3年生に上がると、生活科が理科と社会に分かれ、学力の差が生まれやすくなり、中学3年生は高校進学を控えた大切な時期になり、小学3年生、中学3年生を少人数学級にすることは喫緊の課題だと考えます。

 請願審査では、本市の小学校全体を30人学級にすると、人件費や校舎改修で総額35億円かかるとのことでしたが、請願者は当面小学3年生と中学3年生を35人学級にすることを求めています。仮に小学3年生だけを35人学級にした際にかかる費用は3億5,000万円という試算が出ています。本市の財政力を考えれば、十分に可能なのではないでしょうか。さらに言えば、小学3年生以上で市独自で上乗せを行い、35人学級を実施していないのは、政令指定都市の中で本市と大阪市だけになってしまいました。これも恥ずかしいことだと思います。請願者は、学校で子供たち一人一人が大切にされ、豊かな生活を創造し、人間らしく成長することを願い、18年以上にわたり署名活動を行ってきました。本請願にも1万5,226筆、これほど多くの署名が添付されています。市民がどれほど少人数学級を求めているか、この署名数を見れば明らかではないでしょうか。

 本市も国に対して少人数学級の実施を求めており、メリットも十分に把握していると思います。国の動きを待たずに少人数学級を実施すべきです。少人数学級が仮に実現すれば、必然的に教員がふえ、教員の負担軽減にもつながります。本市も教員の働き方の改善を目指しているわけですから、その面からも実施すべきだと考えます。よって、本請願の願意は妥当であり、採択すべきです。(拍手起こる)